みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む自由が丘の華やかな喧騒から少し離れ、落ち着いた住宅街にあるO邸。新築には魅力を感じず、初めから中古マンションで探していたというご夫妻。スマサガとのリノベーションを通して、ライフプランを深く考えたからこそ実現した家づくりをご紹介します。
Oさん邸は、自由が丘の喧騒から10分ほど歩いた閑静な住宅街にあります。
「新築マンションは買った瞬間に価格が下がるし、自分たちより前に人が住んでいても、綺麗にリノベーションしちゃえばいい」と新築マンションには全く価値を感じていなかったご主人。
以前からリノベーションが選択肢にありましたが、ご夫婦が1LDKの持ち家からの住み替えを考え始めたのは、家族構成が変わって生活スタイルが変化したのがきっかけ。ご主人いわく、「前の家は、結婚しようと思ってた妻と二人で生活していて、そこから結婚をして、子どもができました。二人目が生まれてから、モノが溢れるようになり、もうちょっと大きい家に引っ越したいという話になりました」。
最初は二子玉川や目黒、武蔵小山を希望したそうですが、よりご実家に近い自由が丘の物件をスマサガは提案。「それいいじゃんって思いました。ぼくは自分の実家だし、うちの家族仲良くて。子どももまだ小さいし、ちょっと面倒を見てもらえたりできるともいいかなって。もちろん、街も全然いいって話になりました」とご主人。慣れ親しんだ街、慣れ親しんだ関係のなかで、自分たちの家を購入することになりました。
取材時は、設計プランニング時におふたりが書いたライフスタイルシートなど、ファイル2冊分におよぶ資料を拝見しながら話を聞きました。
スマサガでは、ご相談いただいたクライアントさんに、人生の棚卸しをしてもらっています。そのなかでも、「自分たちはどんな住まいをつくりたいのか」を整理するために書いていただいているのがライフスタイルシートです。そのシートを使って、スマサガと対話しながらリノベーションの設計に必要な要素を明確にしていきます。
「がんばって書きました。出張で海外に行くことがあって、その時に一生懸命書きました。それこそ一日の生活とかいろいろ書いて、それがこれまでの生活やライフプランを見直すいいきっかけになりました。ぼくは週末も出かけることが多いから、妻と子どもが生活しやすい家にしようと話をしました」(ご主人)
物件の契約が決まってからリノベーション設計も本格的に始まっていくのですが、ここから物件所有権の移転まで約1ヶ月の間に、同時進行で考えるべきことがかなりあります。(例えば、住宅ローンの本申し込みから最終審査、手続き関係、そして、かけるべきリノベ費用と設計方針の大枠について決定すること、設計施工期間を踏まえた引越しまでの流れをどうするか…などなど)
自分と真摯に向き合う機会として考えれば、リノベーションが人生を変えるというのも大げさではないかもしれない。
「Oさんの場合は、これまで住んでいたご自身の家を売るタイミングとも重なっていましたし、ご主人のお仕事が多忙な職種であることを考えると、スマサガのライフスタイルシートは記入する項目が盛り沢山なので、本当に大変だったと思います。そんな中で、しっかり考えて書き込んでいただけたので、スマサガとしてもすごく打ち合わせがしやすく助かりました」(城戸/スマサガ代表)
ライフスタイルシートは、真面目に取り組めば人生を変えるきっかけにもなります。ただ『こんな家にしたい』という希望を書くだけではなくて、ご自身の優先順位を考えたり、なぜこのことが必要なのだろうといった次元で、自問自答しながら書いてみて欲しいです。
もちろん、その後の打ち合わせで、スマサガもいっしょに考えていくのですが、ご自身でも事前に整理しておいていただけると、より深みのある対話になっていくかなと思います。クライアントさんと設計者の対話の深さが、そのまま、リノベーションの設計の精度につながっていきます。
「すごい項目が多くて。。いま思うと、人生を振り返って、今後のことを考えるいい機会になったなぁと思います」(ご主人)
専用庭ごしにたっぷり光が入ってくるリビングとキッチン。
1Fだけど、坂の途中に建っているマンションであるため、キッチンやリビングからも抜けた眺望が望め、日当たりがとてもいい。1Fの特権である専用庭が着いているっていうのがあってとっても素敵な印象。
「本当にそうですね。そこがもう一番の印象です。冬でも日中暖房つけなくてもよくて。私はそれがすごくよくて、日がいっぱい入ってるお家がいいなって。もう本当にこれがいいねって」(奥さま)
Q.「この家で、奥さまが一番強くこだわった場所はどこでしょうか?」
キッチンはアイランド型。背面壁側の造作収納は、将来的に今より大きい冷蔵庫に買い替えても収まるように計算して設計された。
「キッチンですね。ものをキッチンに出したくなかったので、全部しまいたかったんですね。あとは、パントリーは、絶対作りたかったポイントです。とくかくモノが溢れちゃっていたので、前の家では。いつ急な来客があっても、パってきれいな状態をって。そこは重要なことでした」
ブラックの天板が印象的で、試行錯誤を重ねて現在のかたちになったそう。
「キッチン天板の厚みは、通常30〜40ミリくらいにするのですが、今回はブラックなので重く見えてしまう可能性がありました。ご主人が求めていた”かっこよさ”から離れてしまいそうだったので、天板の厚みを12ミリにしました。さらに天板とキャビネットの間にライン状の細い凹みになるように段をつけて、陰影によるメリハリが出るようにしました。その結果、シャープな印象になったと思います」(山口/スマサガ設計チーム)
※設計のプロセスでは、以前のお住まいを訪問して、食器棚のサイズから、どれくらいモノが入るかを検討。この物量であればパントリーに入る、などと話をしながら詰めていきました
「実際にこのキッチンを使ってみて、とても気持ちいいです。リビングも庭も見れるし。窓をあけると風通しもいいです」(奥さま)
Q.「ご主人は、一番強く「こうしたい」と思った場所はどこでしょうか?」
当初はサンルームを作る計画もあったリビング。できる限り広く空間を取るために設置はせず。「なくて正解だったと思います」(奥さま談)
「ぼくは、広いリビングがいいなと。それだけですね。友達とか来る機会も多いので。家族も。それこそ親戚まですごく仲がいいんですよ。ほんと毎週のように、7〜8人、大人もすぐ声かけると10人くらい集まっちゃうんで。普通のファミリーサイズの2LDKのリビングとかだとぎゅうぎゅうになってしまうので、ある程度余裕があるリビングがあるといいなっていう注文はしました。」
「フローリングの材は、リビングのイメージを大きく左右すると思いますが、とても素敵ですね」
ご主人の譲れないポイントのひとつだったオーク材のフローリングは、”かっこいいリビング”という世界観の中の重要な構成要素。
「ショールームに見に行きました。板の幅が色々あると知らなくて、長さもいろいろあることも知らなかったんですが。見ていたら、幅が広くて長くて一枚のほうがかっこいいって話になって。その後、設計の山口さんから3Dも見せてもらって、かっこいい、譲れないよねって。床は諦められないポイントでした」
Q.「お子さんのスペースは、将来的には独立したお部屋にすることも想定していますか?」
お子さんのスペースは、畳敷きでほかのスペースと区切りをつけた。
「そうですね。小さいベッドも入るしということで。あと、おもちゃ収納は以前の住まいからのものを使っています。これを入れたいっていう希望がありました」(奥さま)
「おもちゃが入っている収納は、ほんとは2列しか入らない予定だったんですが、解体したらもっと広げられるっていうことがわかりました。限界まで広げたら3列でちょうどでした」(山口/スマサガ設計チーム)
「今後、住み替えの可能性もありつつ、子ども部屋を作ったりの相談もあるかもしれないんですね」
「そうですね、ぜひお願いしたいです。アドバイスいただければ」(ご主人)
「庭で過ごせるのは、1Fならではの良さですね」
リノベーションが完成したのは2020年4月。コロナ禍もあって、自宅の庭でお子さんが遊べることは大きなプラスになった。
「夏はプールもしましたし。グランピングも。お昼を食べたり。テーブルと椅子を並べて夜ご飯を食べたり」(奥さま)
「物件選びの条件で1FはNGとおっしゃる方が多いですが、専用庭という特典付きの物件もありますし、地形や外とのつながりを活かした設計になっていて、内見すると、想像以上に眺望や風通しの良い部屋もあったりします。単純にNGにしてしまうのはもったいないかもしれません。
ちなみに、西向きや北向きに窓がある部屋も、1Fと同じく、NG条件の3大巨頭としてよく挙げられますが、例えば、北向き窓の景色は順光なので圧倒的に眺望が綺麗ですし、西向きは間取りを工夫すればドラマチックな空間が設計できます。
どんな条件にしても、快適に暮らせるかどうかは設計者のセンスと暮らす人の愛情次第だな〜といつも思います」(城戸/スマサガ代表)
ずっと一つの家に住もうという感覚がなかったお二人。しかし「最終的に二人ともすごく気に入っちゃったから、もっと長く住みたいなって」(ご主人談)
最後に、これから家を買いたい、リノベしようとしている方へのアドバイスをいただけますか?
「リノベーションの体験はとても楽しかったです。自分のライフプランとか今後の設計を見直す、大変だったけどいい機会になりました。
なにより自分の気に入った部屋・家に住めるのはすごくいいですし、友達にもすすめたいです。新築でこれは!っていうところに巡り合うのを待つよりも、リノベして自分で作っちゃったほうが、本当に自分の住みたいように住めるんじゃないかなって思います。
振り返って考えてみると、寄り添ってくれる方々と一緒につくりあげてきたから、自分たちが納得できる家が作れたと思います。物件探しからできた後まで、ずっとフォローしてくれているので本当によかったし、色んな人におすすめしたいなと思います」(ご主人)
「私としては、家事の動線だったり、そういうことを自分で考えてできるのが、リノベーションやっぱりいいなって思ったところです。この体験をスマサガさんとできたのが本当によかったなと、心から思います」(奥さま)
ちなみに、住まい探しを始められた時点では、10年程度で住み替えを前提にされていたので、売却しやすい物件を選定したともうかがいましたが…
「何ヶ月もかけて色々ご相談させていただいて作ってきたお家なので、なんかこれで10年でさよならっていうのもちょっと寂しいなって。住めるところまで住みたいなと思います」(ご主人)
「リノベーション体験は、人生を深く考える機会になる」自由が丘O邸リノベーション(取材 2020/12/12)