みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む僕が名刺交換をするとき、必ず相手の方に「くすっ(笑)」とされます。別に、僕の顔に何かついているわけじゃないですよ(笑)。
まず、異様に小さい名刺がかわいらしいこと。そして、小さいくせに少しはみ出すこと。そして、表面にある「たぶん日本で唯一の、ウソをつかない不動産会社です。」という挑発的な宣言。その中の「たぶん...」という言葉。この絶妙なバランス感覚が「くすっ(笑)」と笑いを誘うみたいです。
でも、「ウソをつかない不動産会社」というメッセージには、スマサガ一同、深い思い入れがあって、スタートアップ時の決意表明の言葉でもあります。そして、僕たち自身が「ウソをつかないですよ...」ということも、もちろんですが、本意としては、不動産業界を「もっとユーザーにホントのことを話せる業界にしようよ!」というメッセージなんです。
さらに、もうちょっとつっこんだ話をすれば、ユーザー自身ももっとホントのことを話さなきゃダメですよね。つまり、住まいを売るほうも買うほうも、それぞれみんな本音で話せていないんじゃないかと。もし、そうだったら、ちゃんと本音トークでぶつかり合わないと、住まい探しという体験そのものが、全くつまらなくなってしまいますよね。
ところで、不動産業界の営業マンで、お客さんに本当のことを話せる人っていうのは、実際に、なかなかいません。
「えっ?」て思うかもしれませんが、彼らにとって、お客さんというのは、「お宝物件」を目当てにたくさんの不動産業者を渡り歩いている人でしかなく、つまり、あくまでも物件が目当てで、自分という個人を指名してくれているわけじゃないと考えているからです。
まず、営業マンの目的を理解しなければいけません。彼らが知りたいのは、そのお客さんは 本当に自分を通して契約してくれるのか、そして、希望する物件を買える経済力(or 信用力)がお客さんにあるのか、この2つについて、とにかく早く知りたいんです。
なぜ彼らはそのように考えるのでしょうか?
不動産営業というのは、初見のお客さんにチラッと物件を見せてすぐに決断してもらえるとは限らなくて、何ヶ月もかかったり、結局決まらなかったりもするわけです。だから、営業マンは、なるべくお客さんを囲い込もうとするんですね。
囲い込むためには、その営業マンの在籍する会社が、他よりもたくさんの情報を持っている、なんなら独自の情報を仕入れるルートを持っているとか、未公開情報がたくさんあるとか、そういうことを言いたくなるわけです。でも、昔ならともかく、今の時代は業者間での情報格差はほとんどないので、それはウソなんです。
こういったところから、本当のことを話さず、相手をうまくコントロールしてやろうという姿勢が見え隠れしてきます。でも、まだあります...
さらに、日本の不動産取引では、物件を売りたい売主と、その物件を買いたい買い手の間に、1社のみの不動産仲介業者が入って契約をまとめる「両手取引」が認められています。これだと、業者とユーザーの間に情報格差が生まれ、売主と買い手の両方に対して利益相反するアドバイスができてしまいますよね。だから、アメリカなどでは禁止されています。
しかし、「両手取引」は業者側の利益と営業マンの営業成績を最大にするため、これを目標に行動する営業マンが、日本にはまだまだたくさん存在します。
売主から専任で販売活動の依頼を受けている業者が、売主の利益を無視して、「両手取引」を狙って他の業者の仕事を妨害したり、売主に正確な状況報告をしないことは、よくある話です。例えば、早く売りたいのに、塩漬けにして放置され、挙げ句の果てに安値で業者に売り流されてしまうことがあったりもします。
一般のユーザーに高値で物件を買ってもらうより、物件の価格を安値にしたとしても、業者に流せば「両手取引」になって、実はより儲かってしまうという構図があるからです。その上、業者に物件を流すのはノークレームで、取引も楽です。そして、その物件は業者の手でリノベーションされ、「リノベ済物件」として市場で再販されるのです。
このように売主と買い手の存在を無視して、情報操作で業者が物件の流通をコントロールすることを物件情報の「囲い込み」といいます。さすがに、このレベルの「囲い込み」は禁止されているのですが、バレないようにやろうとする営業マンはいるわけです。
大手業者や業界団体は「今の時代に囲い込みはなくなっている」と言いますが、これはタテマエです。実際の現場では「囲い込み」が存在し、駆け引きの情報戦が繰り広げられているのが現実です。
こんな業界なので、本当にユーザーが必要な情報はブラックボックスに隠されがちで、雑誌やWEBに載っている物件情報や、業者が渡すチラシの情報は、価格、間取りなどの最低限 の情報と、購入意欲を高めるアピールポイントしか書いてありません。これだけでは、将来を決める住まい探しの判断材料としては不十分ですよね?
住まいは、これからあなたの人生を共に過ごすパートナーです。将来の資産性、住み心地の良さなど、こだわりたい点はたくさんあります。それなのに、営業マンはなるべく余計な話をせずに契約したいと考えています。そもそも、お客さんのライフデザインを一緒に考えたいなんて思っていませんし、販売している建物の詳細を知ることにも興味がないのです。
そんな話は面倒だから、何も聞かずにすぐ契約してくれる人に売りたいと、それだけなんです。勉強する暇があったら「囲い込み」をしろ!...が、上司からの教えなのです。
ちなみに、アメリカでは物件情報の「囲い込み」をしたら罰金、常習犯は免許没収になります。日本のユーザーも、「囲い込みをするような業者には頼みません!」と、もっと声を上げたほうが良いと思います。
とはいえ、結局、ほとんどの人は自分でいろいろ考えるのも面倒だし、それほど高望みはしないけど、リスクだけは最小限にしたいので、みんなと同じだと安心安全かな?...と、受け身で考えているうちに、業者が売りやすい、最大公約数の物件を、いつの間にか買わされていることになります。
そんな物件でも、物件情報だけ見ると悪くない感じがするかもしれません。例えば、こんな感じです。
築浅の中古マンションで耐震性能もほぼ最新、設備もリフォーム済み。子供のことを考えて広めの間取りにしたから、東京郊外で駅から徒歩15分なのは仕方ない...。まあ、良いっていえば良い、普通っていえば普通。築浅でリスクがなさそうな物件を選んで、納得して購入しました。
でも、しばらく経つと問題が見えてきます。人並みの満足を求めて買った家なのに、35年のローンが意外に苦しくて、切り詰めた生活で我慢しながら、仕事も嫌になってきたけど辞められない、毎日の通勤もつらい...。
そして、10年後のある日、突然に給料が下がり、ローンが払えなくなる状況に。
そこで、仕方なくマンションを売ることを決断すると、相談した業者に、「この物件は購入時からかなり価値が下がって、ローンの残債も結構残っているので、周辺エリアの相場を考えると、1000万円現金で手出ししないと売れませんよ!」と言われる... これが最悪のシナリオです。
不動産業者が物件を売るときは、売りたい物件のメリットだけを抽出して推し、「10年後の物件価値を考えると、あなたの資金計画では、売却する必要があった時に売りにくいかもしれません...」とは絶対に言いません。”本当のことを話す”とは、このレベルの話をちゃんとすることだと僕は考えています。
住まい購入はみんなと同じを目指すことが正解ではなく、その人にとっての最適な資金計画、その人にとっての最適な物件選びがそれぞれあり、それらを揃えることで失敗のない購入計画が構築され、よりステージアップした未来につながっていきます。
でも、一般的な営業マンのアドバイスは、「この物件だと、ローンが苦しいと思うのですが?」とお客さんが問いかけても、「タバコをやめれば問題ないです!」とか「1ヶ月に1回外食を減らせば大丈夫です!」とか、そのレベルなんですよ(苦笑)。
僕の考えでは、これからの不動産業界は、営業マンとして売上を追求するよりも、コンサルタントとしてクライアントの立場で思考しなければいけません。その結果として、売上も上がれば理想です。
クライアントの「エージェント(代理人)」として質の高い仕事を提供するために、知識と経験を積み上げていく必要があると思います。建物の価値を見極めるための知識、ライフデザインの戦略や資金計画の知識、リノベーションのアイデアを内見時に提案できることも必須です。
本当にクライアントに評価される仕事をしたエージェントが、それに見合うフィーをもらえる業界になればいいですね。何もしなくても取引をつなぐだけで仲介手数料がもらえる状況が続いていくと、より効率主義な業界になり、囲い込みがいつまでも横行します。
どちらにしても、旧態依然の不動産業界の取引慣習は、これからのユーザーを主役にすべきストック社会にはふさわしくありません。ストック(既存住宅)の価値を維持するには透明性を特に重視すべきだと思うからです。
不動産業界全体のイメージが、クライアントのためのコンサルタントということになれば、業界全体のステイタスも向上し、優秀なプレーヤーが増えていきます。
それによって住宅市場が健全化され、より良い住環境が育つと考えています。そういった環境で、ユーザーの資産として中古物件とリノベーションがより価値を持ち、住みやすい街づくりにもつながっていくはずです。これが、業界とユーザーがWIN-WINになり、双方に利益還元され、住まいという市場が永続的に良くあり続ける、基本であるべきです。
そこで問題になるのが、お客様扱いをしすぎる日本人の商売意識です。不動産業界に限らず、どの業界でもそうかもしれませんが、結果として、販売者側も消費者側も本音を話さず、お互い隙あらば少しでも得しようと、顔色を伺い合うようなコミュニケーションになりがちです。だから、業界とユーザーが手を組んで共に歩むことができません。
これからの時代をよりよく生きるために重要なのは、一円でも得したいという発想ではなく、信頼できる人間同士で、どれだけ本音で語り合える関係を築けるかだと思います。
自分も本音を言って、相手にも本音で話してもらうことで、良質なコミュニティを作り、みんなで生き抜いていかなければならない時代です。だから、みんなでもっと本音を言い合えるようにしませんか?
「ウソをつかない不動産会社」というのは、「本音で生きようよ!」というメッセージのつもりです。
本音で取り組む住まい探しは、絶対にあなたの人生の大きな経験になります。スマサガ不動産とそのクライアントがそのことを保証します。スマサガ不動産は、「たぶん日本で唯一の、(相手にも、自分にも、)ウソをつかない不動産会社」です。