みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む日本においては、まだまだ建物の構造的には耐えられるマンションでも、利用価値が低いとされればすぐに建て替えを検討する話が出てきます。結局、マンションの寿命というのは壊れる壊れないの話だけではないんですね。
所有者であるユーザーが住みつなぐことで、ユーザー同士で利用価値を循環させる経済の仕組みにするのか?それとも、不動産・建築業界を潤わせるために、スクラップ&ビルドを繰り返す経済の仕組みにするのか?という、考え方の方針によっても、マンションの寿命というのが決まってくるわけです。実際に、本当に長い間愛されながら次の世代に住み継がれているマンションもあれば、37年で建て替えられるマンションもあります。
結局、マンションの寿命はどれくらいか?そして、何がマンションの寿命を決める要因になるのか?というびは、ひとつの切り口で答えることができない問題です。いろいろな角度から考えてみましょう。
マンションの「寿命」は60年とよく言われますが・・・
しかも、1998年の税制改正では、法定耐用年数は47年と短くなっています。その時期を境に急に物理的な「寿命」が短くなるなんてことはありえませんよね?あくまでも、法定耐用年数は会計上の都合なわけです。
また、国交省の作成した資料によると、マンションの平均寿命は46年、建て替え時期の平均は築37年となっています。「え?マジで?短くない?」って思う人も多いでしょうが、実際には、同時期に建てられて快適に人が住み続けているマンションもたくさんあります。なので、出ている数字はあくまでも結果論の平均値なんですね。
日本でも築50年、60年以上で現役のマンションもありますし、これからリノベーションが一般化すれば、もっと維持管理していこうという方向性に振れますから、もっと平均寿命は上がってきます。例えば、築80年の鉄筋コンクリート(RC)造の建物をリノベーションして構造的にも補修することで、物理的な「寿命」の予想値が築140年まで伸びたと認定された実例もあります。
文化の違いが「寿命」を決める。
例えば、住宅(マンション以外も含む)の平均寿命の国際比較をしてみると、日本が30年、アメリカが55年、イギリスが77年となっていて、これでいかに文化の違いで建物の「寿命」が変化するかということがわかります。
日本では、戦後の経済復興からの経済的都合から、スクラップ&ビルドを繰り返してきました。だから、そのまま建物の寿命は短いものだというイメージがこびりついています。でも、イギリスのような住環境が成熟した国では、築200年の建物が新築以上の価値で現役の居住用として取引されています。つまり、彼らからすると、長期間維持管理されてきて壊れることがなかったという「実績」こそが価値になるのです。
日本でも、リノベーションが時代のスタンダードになっていけば、同じような現象になっていくだろうと思われます。
耐震性や建築学的な耐久性について。
また耐震性も耐久性に関わりがありますが、耐震性能の1つの目安が、いわゆる新耐震基準と旧耐震基準というものです。1981(昭和56)年の建築基準法の改正以降に建てられたマンションは、新耐震基準にそって建てられていて、「震度6強から7程度大規模地震でも倒壊は免れる」ことが設計基準にされています。それ以前に建てられたマンションは旧耐震基準で、計算上は新耐震のほうが安全側に振って建てられていることになっています。
ただし、旧耐震基準の時期に建てられてものの中にも、現行の新耐震基準並の耐震性を持つ建物も数多くあります。また、設計の基準だけではなく、施工精度や維持管理の状態によってもパラメーターは変化していきますし、構造の補強も可能ですので、「旧耐震=構造が弱い」という話だけではありません。また、築年数は価格にも影響するので、コストパフォーマンスを考えてどちらを選べきかは冷静に判断するところです。
つまり、欧米と同じように、今まで地震が何度来ても倒れなかったという「実績」を重視する考え方が、数字やスペックだけで判断するよりも賢明な可能性があるということです。
長期修繕計画と維持管理のチェック。
また、表面のコンクリートも、常に雨水や空気に触れることによって中性化が進んできます。コンクリートの厚み(かぶり厚さ)が大きいほど、鉄筋に至る中性化が遅くなり耐久性が長期で保たれます。逆に、かぶり厚さが十分でないと、満足な耐久性が得られません。
なので、マンションを定期的に点検し、適切な補修を計画的に行っていく必要があります。それが、長期修繕計画です。外壁などの補修や塗装工事を行っている中古マンションを目にすることがありますが、これは単なる化粧直ではなく、安全性と耐久性を高めるために必須の工事です。
ということで、対象のマンションが、どのような長期修繕計画を立てているのか、またどのような形で維持管理された実績があるのかを、購入前に十分にチェックしておく必要があります。これらの情報は、不動産仲介業者を通じて管理組合などから入手することができます。こういう調査や資料をそろえることを面倒くさがる仲介業者さんも結構いらっしゃいますが、維持管理のチェックは結構重要なことなので、ご注意下さいませ…