みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む住まい探しをする上で、最初からある程度準備ができているのとしないのではその進み具合は格段に変わってきます。ましてやリノベーションを希望する場合、物件を内見した時に、その部屋のリノベーション後のイメージを想像出来るかということは大きなポイントになってきます。
今回は実際にそんなイメージが出来たからこそ実現出来た、そんな事例をご紹介したいと思います。
36㎡という決して広くない空間の効率利用を考えて、キッチンを壁付けに。逆に、部屋の中央にはみんなが集まるビアパブのようなカウンターテーブルを造作。
Nさんは、自分のライフスタイルにあっていた中目黒エリアに、賃貸で約8年住んでいました。次の契約更新がせまってきたある日、ふと「これだけ長く同じ場所に住んでいるのなら賃貸では無く家を購入するのもありなんじゃないか」と思い、家を購入するモチベーションがムクムクと湧いてきて、Nさんの住まい探しがスタートしたのでした。
物件探しを始めるにあたって、Nさんはもともと新築マンションを購入する可能性を全く考えていませんでした。まずは新築マンションから探してみようと思う人も多いと思いますが、Nさんはもともと新築特有の雰囲気が好みではなく、建物自体に雰囲気があるような中古マンションに住みたいと思っていたそうです。
さらにNさんは、住まい探しを始める段階から、家はただ住むだけではなく、資産として物件購入を考えていて、その点でも素晴らしい判断だったと思います。
海外では中古物件をリノベーションして住むことは普通に行われている。旅先でその事例を見ていたNさんは、中古物件が資産になることをもともと理解できていた。
そもそもなぜ、中古物件に興味があったり、資産として家を考えられたのでしょうか。Nさんは、旅先の海外で見た光景から影響をうけていたといいます。そんな海外で目にした住まいや街の事例から、リノベーションという手法があることも知ったそうです。まだまだリノベーションが当たり前ではない頃に、住まい探しの前に中古物件+リノベーションという感覚や手法を知っていたことは、今思っても非常に大きな利点となったのでした。
Nさんはリノベーションが出来る会社を中心に探すうちにスマサガ不動産のサイトと出会い、家の真ん中にバスタブが置かれた家の事例を見たのが印象的だったそうです(調布H邸)。ここまで大胆なことも出来るなら、自分の思い描く住まいの構想が実現できるのではないかと思い、他のリノベーション会社とも比較検討した結果、スマサガと住まい探しをすることに決めたそうです。
玄関とフラットなモルタル床のリビングは、楽器演奏と読書が趣味のNさんにとってリラックスできる空間。壁のブリックタイルはNさんがDIYで貼ったもの。
当初、住まい探しは、当時も住んでいた中目黒エリアを中心に探し始めました。ちょうど自分の考えているイメージに近い物件も見つかったそうですが、。マンションの構造や使われている素材なども総合的に判断した結果、その中目黒の物件は見送ったそうです。その時のスマサガスタッフのアドバイスがなければ、実際にその物件を購入していたかもしれないと話してくれました。
人気の街である中目黒では、その後も条件に合致する物件は出てきませんでした。そこで対象エリアを拡げて探し始めるわけですが、そこで大事になるポイントは「資産価値」でした。将来的に賃貸で貸し出すことも含めて考えていたNさんは、時が経過しても一定の需要がある地域であることを条件に探すエリアを絞り始めます。その結果、中目黒周辺に加え、代々木上原や表参道までエリアを広げて探すことに。
「ビールに合わせた料理(つまみ)をつくるのが楽しい」と話すNさんのために、コンパクトなキッチンながら作業スペースは十分に取れるように設計。
今の物件に出会った時に、とてもインパクトがあったと話すNさん。
まず家の造りがL字になっていて、リノベーション後からは想像出来ないぐらい薄暗く、当時は空き家になって少し時間が経っていたせいか中の様子も少し荒んでいたため、まるでお化け屋敷に入ったような様子だったそうです。
目の前に広がる光景がそんな様子ですから、Nさんの第一印象もイマイチだったそうです。ただ内見した時に、どんなリノベーションが可能なのか、どの壁なら壊せてどこが壊せないか、などヒアリングをしたことで、この家ならどんなことが可能なのかをイメージすることが出来た、と話します。
いったん他の物件の内見も見ながら、どうしてもあのL字の部屋が頭から離れなかったというNさん。最終的には物件のある表参道エリアのアクセスの良さと予算面から、普通ではなかなか買おうと思わないだろうなと思っていたこの物件の購入を決断しました。
そのあとはいよいよリノベーションの相談へ。そもそもNさんが思い描いていた構想は、模様替えのレベルだと難しく、リノベーションしないと作れないスケールのプランでした。
その構想のなかで重要な要素となったのが、アメリカのオレゴン州ポートランドで見たモルタルやスチール、木材で構成された家々の雰囲気でした。もともとそんなイメージを膨らせていたNさんは、設計の過程はすごく楽しみながらやっていたと話してくれました。
既存の間仕切りを全て取り払ったときに出現するL字型の空間の特徴によって、店舗のようなリビングと、プライバシーが必要な場所とが自然に仕分けされると考えた。
部屋のイメージは「みんなが扉を開けて、えっ?と驚く空間」で、最大の特徴であるL字型の造りを上手く活かして作っていくことに。パブやカフェ、Barのような空間をイメージしたリビングは、カウンタースペースを中心に気のおけない仲間たちでわいわいと楽しくくつろげる場となるように設計していきました。
室内を構成する素材は、ポートランドで印象強かったモルタルやスチール、木材を採用。素材の個性を強く主張し過ぎず、穏やかな印象でバランスよく施されているのが印象的な内装です。
壁の塗装やブルックリン調のブリックなど、自分たちでも出来るだけDIYを行ったNさん。壁塗りは本職の職人さんにも腕前を絶賛してもらえたそうです。
表参道という一等地にそのまま営業できるくらいにカフェ&BARな空間をつくったNさんが、相談時におっしゃっていた言葉…「いっそカフェに住みたい(笑)」。
実際に住み始めて約4年になるこの部屋には、いつも多くの友人がやってくると言います。表参道界隈といえば、少し外へ行けば素敵なお店もたくさんあるエリア。この家に友人が集うのは、Nさんがイメージしたコンセプトがしっかりとこの家の哲学として反映されているからでしょう。
ビアソムリエでもあるNさん。カウンターでビールを注いでいる様子を想像するだけで、誰かの家では無い隠れ家のバーのようですね。
とあるメディアに取材されてどこかの1ページに取り上げられると思っていたら、なんと表紙に登場した時も。その時はさすがにNさんも驚かれたそうです。
自分たちで壁を塗ったりした経験からDIYをやってみることも増えたり、将来的にはこの部屋を賃貸に出して新たな住まいに住むことも検討されているとか。この部屋では制約がある中でいかに自分のやりたいコンセプトを実現出来るか挑戦した空間なので、今度はもっと広い空間でリノベーションをしてみたいと話してくれたNさん。
そのプランが実現したら、もっとクリエイティブでワクワクするようなお部屋が生まれそうです。今回のリノベーションだけにとどまらず、今後の展開も楽しみなNさんのリノベーション事例でした。
「どんなにオシャレな近くのレストランよりも、わいわい団らん出来る本当の隠れ家」表参道Nリノベーション(取材 2019/9/28)