みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む不動産物件を探す上での絶対条件が「新築」だった渡辺さん。しかし実際には購入した中古物件をフルリノベーションした部屋に住んでいます。なぜ渡辺さんは絶対条件が変わったのでしょうか? そしてどのように希望を実現させたのでしょうか。そこには紆余曲折のストーリーが存在していました。
人々をつなげる場となっている住まいについて楽しく語ってくれる渡辺さん。
外資系企業に勤める渡辺さん。以前、渡辺さんが絶対に外せないポイントだと思っていた条件は「新築」「商店街がある街」でした。でも、実際にその条件で新築の賃貸物件に3年ほど住むとさほど重要なポイントではなく「何か違う」と思いはじめたそうです。渡辺さんが次にこだわったのは「食」と「住」でした。
4mの大きなカウンターを持つ木製キッチンを造作。
渡辺さんは「どんな家かではなくどんな街に住むか」という視点で物件購入を考え始めます。不動産探しではどうしても物件スペックばかりを見がちですが、「どんな街でどんな暮らしをしたいのか?」を考えることが重要な要素になります。
2010年当時、女性が一人で不動産を購入することも、また不動産会社側もその対応にまだ慣れていませんでした。「当時、中古やリノベーションを全く考えていなかったにもかかわらず、偶然スマサガのサイトを見つけました。サイトを端から端まで全部読んで『これだ』と思いました。実際に足を運んでみると、私が一人で家を買おうとしていることに何の偏見も持たず接してくれました」(渡辺)
もともと新築にこだわりがあった渡辺さんでしたが、よくよくお話を伺うと中古マンションを購入しフルリノベーションすると、新築でなくても自分の希望を叶えることができることに気がつきます。
「手垢がついていないどころか、自分の好きなようにできるなんて、こんなに面白いことはありません」(渡辺)
渡辺さんは子どものころ田町で育ち、馴染みがある高輪台や麻布十番周辺の物件を探しました。実際に購入された物件は女性がひとりで住むことからオートロックで戸数が多く、適度な生活感があるという点でをおすすめでした。マンションの管理人が住み込みという点も大きなポイントでした。
質感の良い木製の天板にはコーティングを施し、メンテナンス性も考慮。
「もともとこういった家を作りたい具体的なイメージがあったわけではなく、スマサガの皆さんと設計の打ち合わせを重ねていくことで、少しずつ今の形になってきました」(渡辺)
全てお任せであれば1ヶ月で設計し、その後2ヶ月で施工、合わせて3ヶ月程度で終えることも可能です。でも実際には半年ほどかけて取り組むことを選択されるケースがほとんどです。イメージをすり合わせて、最初の設計(基本設計)に落とし込むのに約一か月ほどかかります。そして希望通りにやりたいことを詰め込むと大抵過剰スペックとなりがちなのですが、実はこの過程で自分のコアな部分と向き合ったり、設計者とプラッシュアップを繰り返す時間が必要になるのです。そして、数ヶ月かけて本当に求めるべき着地点に向かっていきます。それはクライアントが本当に欲しいものがわかる期間でもあり、スマサガのスタッフが、クライアントのコアにある本音の部分を自分たちに移植するための期間でもあります。
「そんなやり方もあるんだ!ということを惜しみなく教えてくださるので、毎週の打ち合わせのたびに夢が広がり、 だったらこんなこともできますか?とさらなる打ち合わせが重なっていきました。」(渡辺)
リビング床には調湿効果の高い桐の無垢フローリングを採用。1段下がった床には、防水加工されたコルクタイルを敷いて、ワインをこぼしてもさっと拭けるように。
以前の2DKの間取りは部屋の奥まで光が届かず暗い印象でした。それを明るく広いワンルームにするため、光をさえぎるものは全て取り外しました。
渡辺さんが一番欲しかったものは、心地良い床でした。そこで床材を優先し、無垢の桐にすることにしました。桐は素材が柔らかくて、夏は涼しく冬は暖かい、さらに部屋に湿気がこもらないという利点があります。
天井は高さをとりたかったので既存の造作を取り払いました。そうすると建築物の構造体の部分であるコンクリートが打ちっ放しの状態で見えるのですが、そのままでも充分キレイだったので何も手を加えませんでした。
キッチンでは、複数人で料理をするだけでなく、自然と集まり団欒の場となることも。
キッチンは対面式をご希望でしたが、今回はカウンターキッチンを作るスペースは無駄が多くなるため、抽象度を上げて考えてみたとき「みんなと話をしながら料理を作りたい」という想いが渡辺さんの核心にあると分かりました。実際に完成したキッチンは壁に向かっていますが、みんなで料理を作りながらキッチンに立つことができます。
ベッドエリアは小上がりになっていて、他のフロアよりも高く。天井をコンクリート現しにすることで、リノベ前より20〜30cmほど天井高があがった。
「さらに家に味が出てきて楽しいんです」(渡辺)
モルタルを使っているのでヒビが入ってきたり、桐材の無垢フローリングの床も傷ついてきたりもするのですが、それが味わいで楽しいとおっしゃいます。
後悔したポイントはないですか?という私たちの問いに対し、「ない」と即答されました。
「もともと何もなかった状態から最大限引き出してもらって、自分がうまく言葉にできなかったものをカタチにしてもらいました。」(渡辺)
いつ人が来てもいいように、常に片づけをするようになったそうです。どんなにステキな家が出来てもそれは渡辺さんにとって完璧ではなく、人が集まることで完成される家だったのです。