みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む伺うたびに変化する家があります。まるでガウディの代表作「サクラダ・ファミリア」のように変化を続ける家。
シンプルで余白が多く、そこに住むご夫妻曰く退屈しない家は、最初からそのコンセプトありきで作られた家だと思っていました。
けれど、それは違い、除々に整理されて生まれたコンセプトでした。
お引越直後の様子。部屋に余白をつくることで、日々自分たちでアレンジしながら楽しく暮らす。
二人は物件探しは時間がかかるイメージがあり、早めに行動を開始します。いろんな情報を調べる中で、スマサガ不動産のサイトにたどり着きます。
そこで会社のスタンスや、親身になって相談に乗ってくれそうな雰囲気に共感し、不動産セミナーに足を運び、個別面談を経て、物件探しを始めます。数件の内見後、よりしっかりとした資金計画など、本格的な準備をしてから再度臨むため、一担物件購入から距離を置くことを選択しました。
実は物件探しから、距離を置くことが、その後の家のコンセプト作りの整理に大きな意味をもたらす可能性があります。
自分で手をかけながら住むことを楽しむため、あえて下地現しにした天井と、ラーチ合板の床。壁は生活しながら、Iさんご夫婦がDIYで塗装。
物件探しから距離を置いた一年間は、頭の片隅にそのことを思いながらも基本的には、特にアクションを起こすことなく過ごしていた二人。
1年間の準備期間を経て、二人は物件購入のための内見を再開、1日3~4件の内見を2ヶ月程度続ける中で、希望していた居住圏内で現在住んでいる物件を見つけます。決めたポイントは通勤圏内か、共用部分の管理が良いか、見てグッとくるか、金額はもちろん、広さや眺めなど複合的な要因で決めました。他の場所でも広くて管理は良いものの、センスが合わず断念した物件はありました。この用賀の物件は、内見をする前にも外観を見に行ったり、印象が既に良かったのも大きな要因になりました。
床は黒色の塩ビタイル、壁はラーチ合板と白タイル、ステンレスの業務用キッチン、設計者と検討を重ねながら選択したこともあって、様々な素材がぶつかっても空間でうまく調和している。
購入当初からほとんどスケルトンだった部屋を、実際に素敵な部屋に作り込んでいくのに重要なこと。それは、もちろん設計です。今回の事例については、設計スタッフとの打合せ期間は4ヶ月のあいだで22回に及びました。
先にも触れましたが、当初は現在のような敢えて「未完成の家」を志向していた訳ではなく、部屋に入れ込む要素がてんこ盛りで、どちらかと言えば、やりたいことをたくさん盛り込んだデコラティブな家の要素が多くありました。
そんな志向が決定的に今の方向性へと転換したのは、準備期間の1年で、いろいろな条件が緩やかに二人の中で整理されていく過程で、自然とシンプルな方向へと気持が向かったことからでした。更にはスマサガ不動産のオープンハウスにも参加する中で目黒I邸の設計には多くの影響を受けたそうです。
設備配管をつなぎ合わせて作ったオリジナルの水栓。
実際に完成した家のレイアウトは大きな土間が印象的で、この部分は当初からDIYをその土間で行う予定だった要望部分で、その他にも家全体を1ルーム的に使いたいということも要望されていました。
他にも印象的な場所として佇むのはキッチンスペースで、よくあるようなシステムキッチンはこの部屋には存在しません。あるのはどちらかと言えば無機質に見える業務用キッチンで、機能美や工業製品が好きな二人にとって、システムキッチンは好みではなく、むしろ業務用キッチンに憧れを持っていたそうで、フレンドリーさよりも無駄がない感じで、家にいるのに厨房のような雰囲気を出せるように工夫したスペースになっています。
最後に待ち構えていた難問は予算との戦いで、特に床の素材と予算とをどう整合性を取りながら現実的なところに落とし込んでいくのか、葛藤があったと言います。
今回の事例のコンセプトの秘密は、本当に何を求めているのか整理がいったん出来たことと、今につながるずっと作り込んでいける部屋に出来たことにあります。
部屋中央にある「ハコ」の中に浴室などの水まわりをまとめた。ハコはシナ合板仕上げ。このハコを回遊する間取りになっている。
二人はそれまで住んでいた部屋でも自分たちで工夫しながら余白を楽しむ生活をされていましたが、今回の部屋では、より余白の多い「良い意味で未完成の家」を志向したため、最初はその感覚を養うところから始めました。
窓が多い環境かつマンションの最上階の環境のため、時間帯ごとに光の差し込み加減によって違う場所がハイライトされるのがお気に入りポイント。特に西側がハイライトされる加減が好きらしく、設計したスタッフもその部分を気に入っています。
以前住んでいた家では、DIYをするときは部屋に余裕がなくDIYだけに集中するような環境だったけれど、今は広い土間があるおかげで、DIYをしていても他のことも出来る環境に満足されています。そんな土間のあるリビングも広さゆえの嬉しい悩みで、最近までずっとレイアウトの試行錯誤を繰り返していました。
住み始めから作り込んでいく過程は、あたかも住むことを作り上げることを勉強している段階だと語る二人。そこからモノを上手に見せていきたい想いがひしひしと伝わる家の中の日々進化するレイアウトがあります。いつもこの家に何を当てはめればもっとグッとくるのか、まるでパズルの最適なピースを探すがごとく、面白いものを生活に当て込む面白さを探求している家族の住む家は、いつ伺っても新たな発見をもたらしてくれそうな雰囲気が佇んでいます。