みなさん、不動産会社にだまされちゃだめです!
情報に踊らされる、情報弱者にはならないでくださいね!
コラムを読む都心近郊にありながら、木々の緑と太陽の光を感じられる豊かさ。時を経た建物を、自分らしく生まれ変わらせていく楽しさ。そして、住めば住むほど家の魅力が深まっていく嬉しさ。そんなリノベーションの醍醐味が存分に詰まっている家が、横浜市港北区M邸です。
感性豊かなMご夫婦と愛猫が住むこの家は、開放感のあるシンプルな空間構成。まるで絵を描く前のキャンバスのように、Mご夫妻がこの空間にどんどんお気に入りをプラスして、自分の感性を表現していけるような…。 そんな、住むほどに、Mご夫妻らしい魅力が深まることをコンセプトとした家なのです。
そして、そんなM邸の財産とも言えるのが、南向きの窓に面した豊かな森。窓の外は見渡す限り緑と空で人目を気にする必要がないので、なんと、カーテンを使わない生活をなさっています。 日の光を豊かに浴びて、森が育む空気を吸う毎日は、どれほど気持ちがいいでしょう…!
時が経っても褪せることがない空間に、2人の感性を重ね、家の魅力を深めていくM邸。 まるで、リノベーション文化を日本に広めた「FLAT HOUSE」のように、10年後、20年後が楽しみなお家です。
当初、Mご夫妻の家探しで必ずクリアしたい条件は2つありました。「ペット(猫)可であること」と「最上階の部屋であること」。しかしこの2つ、中古マンション業界的には、なかなか難易度の高い条件。
まず、中古マンションでペット可の物件が極端に少ない。そして、人気の高い最上階…。しかも、自信を持ってMご夫妻におススメできるくらい管理状態がいいか?将来的にも資産価値を維持していけそうか?というフィルターをかけると、なかなか当てはまる物件は見つかりませんでした。
そこでスマサガ不動産は、ちょっと発想を転換!
「最上階」というスペックにこだわらずに、「景色のいい部屋」という視点から物件を再提案してみたのです。
そもそも、家のスペックというのは日本の不動産業界が勝手にイメージをつくっているものが多いです。「最上階=眺め最高」「1ルーム=狭い」「築浅=キレイ」「オートロック=安心」など…実際は築浅でもきちんと管理していなければすぐに古びた印象になってしまいますし、無理に部屋数を多くするよりもひとつなぎの空間の方が開放的で広く感じる場合もあります。当然、最上階でも見晴らしが悪い部屋もたくさんあります。もっと言えば、ペット可で最上階というスペックにこだわりすぎると、本当に価値のある物件を見逃してしまう危険もある。だから、大切なのはスペックの手前にある「そのスペックに何を求めているか」。
そう考えて、Mご夫婦が「最上階」というスペックに求めている「景色がいい部屋」という条件に立ち戻り、試しに中間階(3階)でも、窓の外に緑豊かな公園が広がる物件や、1階で専用庭付きの物件をお見せしたのです。
すると…「最上階じゃなくてもイメージに合った部屋はあるね!」と、Mご夫妻も喜んでくれ、最上階にこだわらずに再度物件を探すことに!
そうして最終的に、東急東横線沿線の駅から徒歩圏内にあり、予算よりも低価格で、緑豊かな景色が広がり、ペット可の最高のマンションに巡り会うことができたのです。
さて、ここからいよいよリノベーションスタート!
リノベーションのプランとしてまず考えたのが、この家の財産ともいえる緑豊かな景色を活かして(ちなみに、こんな風に自然を設計の背景に取り込むことを借景といいます。日本のお庭作りの技のひとつです!)、四季の変化が楽しめるような部屋にすること。そして、Mご夫婦は価値観やライフスタイルをしっかりとお持ちの方々だったので、そんな2人が自分たちの感性で自由に育てていける空間にしたいということ。
そこでコンセプトとしたのが、「時を重ねるほど魅力が深まる家」。
キャンバスに絵を描いていくようなイメージとでも言いましょうか…10年20年と経ったときに安っぽく古びるのではなく、もとの空間に2人の感性がプラスされることで魅力が増し、深い味わいが出るような家を目指しました。
リノベーションでこだわったことは3つ。
まず1つ目は、早速2人の感性が発揮された丸柱。実はご主人の叔母様は、モダニズム建築の巨匠アントニン・レーモンド(※)設計のお家に住んでいたのだそう。その叔母様の家の風景をご主人は今でも記憶していて、とりわけ、レーモンド建築の象徴とも言われる丸柱は幼心に強く印象に残っていたのだそうです。(子供の記憶に残るとは、さすが巨匠ですね..!) そこで今回のリノベーションでも、ぜひ丸柱を立てたいということに。ご主人こだわりの丸柱だから素材やサイズを一緒に検証しようと、スマサガ不動産の設計担当とMご夫妻で揃って、材木屋さんまで足を運びました。
いざ選び始めると、不思議なことに、ほんの数ミリ違うだけでも全然違った印象になってしまう丸柱…。あぁでもないこうでもないと悩みに悩んで、予定より10 ミリ細い木に決定しました。最終的にリビングの中央に堂々と設置したこの丸柱は、叔母様から譲り受けたレーモンドデザインのソファとともに、M邸の象徴的な存在となりました。
2つ目のこだわりが、借景の活用。古びない財産のひとつとして、緑豊かな景色をどう家の一部として取り込むべきか…。考え抜いた末に、窓にカーテンを設置せず、窓とフロアの間にインナーガーデンをつくることに。このインナーガーデンをつくることで、4階にいながらまるで縁側で日向ぼっこしている気分になる、光と風と緑が感じられる空間ができました。
そして、3つ目のこだわり。それは、より自分たちらしい家に仕上げるために、壁や床の塗装を自分たちでするというこだわりでした。
※アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)
チェコ出身の建築家。フランク・ロイド・ライトのもとで学び、帝国ホテル建設の際に来日。その後日本にとどまり、モダニズム建築の作品を多く残す。日本人建築家に大きく影響を与えた。 代表作品:軽井沢 夏の家/東京女子大学/リーダーズ・ダイジェスト東京支店 他多数
より自分たちらしい家に仕上げるために、塗装を自分たちですることにしたM邸。
せっかくなので塗装の色も一緒に選ぼうと考え、スマサガ不動産の設計担当とMご夫妻で塗料のショールームに行きました。300色近くある塗料の中から選ぶのは大変だろうとかなり時間をとっていたのですが…奥様が「こんなにあったら永遠に決められないから、直感に頼る!」とのひとことで、予想外の早さで決定!
色味が気に入ったのと、色の名前が食べ物の名前でおいしそうだったからという、なんともMご夫妻らしい、本当に感覚を信じた選択でした(笑)
とは言え、この直感で選んだ色が良かったのか、セルフ塗装は大成功!Mご夫妻のお友達がたくさんお手伝いに来てくれて、音楽を流しながらワイワイ塗り上げていきました。そして、完成した空間を見てお友達間で「これは誰が見てもMん家だね!」と言う会話が(笑)
ずっと目指していた2人の感性が表現できる空間という目標が達成できたということでしょうか!?スマサガ不動産としても、とても光栄な瞬間でした。
こうして、自分たちのこだわりを凝縮して仕上げたM邸。より長く、より自由度高く住むためにつくり上げた空間は、これから先もご夫婦の感性で、より魅力を深めていく家になることでしょう。