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街と歴史を知ることが住まい探しの第一歩になるとわかったところで、
やっとマンションそのものの価値を考える話です。 -
さて、この項目では、客観的にマンションの価値を測る考え方をご紹介します。スマサガ不動産がいつもお客さんの中古マンションを探すときにも使っている指標です。
経験上、これだけのことを押さえておけば、住まいの購入で損をすることはないでしょうという意味でのチェック項目にもなるはずです。
スマサガ不動産においては、リノベーションの費用までも、全て踏まえて、このマンション価値の計測をしています。 そうすれば、周辺地域で新築のマンションを購入するのと比べ、中古マンションのリノベーションがどれほど資産性が高いかよくわかります。
ただ、ここでも順番的な注意があるのですが、第一のM(街と歴史)〜第二のM(マンション価値)と続けて、資産価値のことばかりやっていますが、 あくまでも購入するのは住まいです。自分がどう住みたいのか?という夢のある話のほうが、ある意味、最も大事です。それについては、第三のM(マイプラン)で、 自分の要望やライフスタイルをどうやってミックスしていくのかということをやっていきますが、資産価値を最初に考えるのには理由があります。
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資産価値を最初に考える理由は、先に自分のやりたいことを「夢」のように広げていってしまうと、絶対に将来の資産価値よりも、自分の今現在やりたいことだけを優先してしまうからです。
そこを不動産会社に突かれて、10年後に考えたら「なんでもっと冷静になれなかったんだろう?」と思うような、 資産価値の低いエリアに割高な物件を購入することになるのです。第一のM(街と歴史)
「資産価値の高いエリアを中心に住みたい街の候補を挙げる」
↓第二のM(マンション価値)
「その街に住むならどのようなマンションが候補になるか
物件情報を見ながら分析する」
↓第三のM(マイプラン) 「分析したデータをもとにそこに自分の「夢」を描けるかプランしてみる」
このような順番が、理想のフローチャートです。
第三のM(マイプラン)の段階で、どうしてもやりたいことが実現できないなら、前の段階に戻って微調整してみれば良いです。
あくまでも、 最初の段階で資産性について考えていれば、10年後に後悔するプランをつくるような軸のぶれ方はしなくなると思います。また、スマサガ不動産のお客さんで、こんな感想を話してくれた人がいます。
「自分のやりたい『夢』を考える段階でも、あえて最初に決めた資産性にこだわってストイックに『夢』を削っていきました。
そうしたら、 当初こだわっていた『夢』が、本当にやりたいことじゃなかったと気付いて、
自分のライフスタイルを見直すきっかけになりました」...と。ですので、最初に、資産性から考えてしまうと、自分の「夢」を見失いそうで心配...、
と考えているあなたも、ご安心下さい。どのような順番で考えても、
あなたの個性は死にませんから。ですので、必ず、資産性から家づくりを考えるようにしてください。 -
では、第二のM(マンション価値を見抜く)の基本です。
基本中の基本は、「管理状態が良好なマンションを買え」、です。
実は、中古マンションをオススメする最大の理由は、「管理状態がしっかり分析できる」ということです。というよりも、そもそも、新築マンションは「まだこれから管理が始まる」のですから、状態の分析なんか出来ません。 この管理がどうなるかわからないというのが、新築マンション最大のリスクです。
実際、築10年程度しか経っていないマンションが、築30年を超えたマンションに比べても、あきらかに「外壁は塗装が剥げ、廊下に住人の私物がころがり、 共用部の掃除もされていない」管理不足な物件になっているというのはよくあるのです。
まずは、目視で、例えば「エントランスはきれいに清掃されているか?」とか、「ゴミ捨て場の整理整頓はしっかり出来ているか?」 といったところを確認してみれば、そこに住んでいる人たちの意識がだいたいわかります。
そして、管理状態が悪い物件というのは、いかに数値的に分析して資産価値が高くても、絶対にその数字のパフォーマンスを発揮しません。 ですので、管理はどんなことがあっても、将来性の全てを決めると考えて問題ないと思います。
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参考までに、物件と管理状態のチェック項目として、スマサガ不動産が最低限チェックしている項目を挙げておきます。
購入候補の物件が具体的に決まったら、 この項目をチェックすることが必須です。これらの項目は、他の不動産会社で物件を購入する場合も必ず確認してください。
もし、調査を面倒くさがるような会社ではパートナーとして安心できません。
別の会社をパートナーとして検討したほうが良いと思います。- 目視でマンションの管理状況をチェック
- 管理人や住民へヒアリング
- マンション修繕履歴 (書類:重要事項調査報告書)
- マンション全体の修繕積立金の確認 (書類:重要事項調査報告書)
- 管理費・修繕積立金の滞納の有無 (書類:重要事項調査報告書)
- 今後の修繕計画 (決定事項の有無)(書類:重要事項調査報告書)
- 長期修繕計画 (書類:重要事項調査報告書)
- 管理規約 (書類:重要事項調査報告書)
- 所有者確認 (書類:登記簿全部証明書)
- 抵当権設定の有無の確認 (書類:登記簿全部証明書)
- 土地の持ち分の割合確認 (書類:登記簿全部証明書)
- 当該敷地の周辺の権利形態確認 (公図、周辺の所有者確認)
- 接道の確認 (公図、周辺の所有者確認)
- 【その他チェック項目】
- 路線価
- 周辺の賃貸相場
以上を確認しますが、このうち土地の持ち分割合確認と路線価、周辺の賃料相場は、資産としての将来性を見るのに必須です。
他の項目もそれぞれ重要なのですが、特に周辺の賃料相場というのは、
これからお話しする資産価値の計算式に関わってくるので、 一番始めに目をつけておくべき指標です。賃料が高く取れる不動産ほど価値が高いというのは、物件の適正価格の決め方として最も合理的な考え方で、
グローバル化する経済社会の中で年々評価が高まっている指標です。頭に入れておくと良いと思います。さて、その【周辺の賃料相場】を利用して、物件価値を測る2つの概念がありますので紹介します。
購入判断はこの2つの考え方が理解出来れば間違いなく出来ます。「再有効利用」と「収益還元法」という2つの考え方です。
専門用語を使って申し訳ないのですが、この2つの考え方さえ覚えれば、全ての物件価値が理解出来るようになりますので、
ぜひ頭に入れておきたいところです。 -
つまり、あなたの所有する中古マンションは、そのエリアのニーズに最適化したプランとして最大の家賃で賃貸に出せますか?ということですね。 この再有効利用を出来るだけ最大になるようにしておきたいというのが、資産価値を上げる考え方です。
いわゆるリノベーションという言葉の本来の目的は、この再有効利用を最大化するという発想のことです。古くて価値の下がった物件を再生するための リフォームを行うということなんです。なぜか、ちまたでは、ただのおしゃれで贅沢なリフォームのことみたいに誤解されているようですが...。 ですから、リノベーションという考え方があれば、どんなに価値を失いかけている中古マンションでも、再有効利用に出来る可能性があるということです。
では、具体的な再有効利用のイメージの話です。
例えば、富裕層が多く住むエリアでマンションを買うのであれば、高級な質感が演出されていて日本人のファミリー向けで100㎡以上、 欧米系のビジネスエリート向けであれば180㎡以上の、アッパーハイクラスのニーズを満たして初めて資産価値が成立するとか...。 同じエリアで別途の戦略を考えるとしたら、若手ハイクラスのために60㎡以内でSOHOとしても使えるスタジオタイプを模索してみるとか...、ですね。 割とコンパクトなものならそれなりに色々発想が出来るかと思います。ただし、このエリアでは時代性を踏まえた、ある程度のプロデュース力が必要になってきます。
逆に、下町の庶民的なエリアで100㎡越えなんて、むしろ、最有効利用の価値はゼロに近いですよね?単身者向けやDINKSに向けた60㎡以内のせいぜい2LDK (何LDKという決めつけた表記はあまり好みませんが、一般的にわかりやすく表現するとそういうことになります)までの広さのものに、 機能性を効率的に入れ込むべきです。今のところ、そこにしか賃貸ニーズはありません。
あと、ほとんどの人が気付いていないことで、非常に気をつけてほしいことがあります。下町エリアにおいては特にその傾向が強いです。
専有面積が70㎡〜90㎡クラスのいわゆるファミリータイプの物件は再有効にはなり得ません。
ファミリータイプという広さは、現在あまりに空室が多いタイプで、しかも、新築もどんどん生産されています。賃料の設定をかなり安くしなければ、 ユーザーに購入したほうがいいと判断されてしまうのです。ですので、ファミリータイプの資産価値は、基本的に「売れるかどうか」 というところにフォーカスして考えたほうが良いかもしれません。
収益還元法はざっくり言えば、市場に出ている物件の価格が安いのか、高いのか、を測るために利用できます。収益還元法に基づいて算出した物件価値をもとに、 売り主さんに価格交渉をすることも、論理として筋が通るのでオススメです。ただし、交渉は筋が通れば全て成立するというわけでもないので、あまり、 テクニカルに考えすぎるのもよろしくないとも思いますが...。少なくとも、自分の中に一定の判断基準が出来るので、計算式を覚えておくと良いですね。
【収益還元法の計算式】
年間純収益(月額家賃の純収益×12ヶ月) ÷ キャップレート(還元利回り) = 収益還元価格計算式自体は単純なんだけれど、用語がわかりにくいので少し解説が必要です。
[月額家賃の純収益とは?]
まず対象物件を賃貸に出した場合、1ヶ月の家賃がいくらになるかという予測の金額を月額家賃として設定します。月額家賃はネットで同条件のものを検索して調べてみるか、地元の賃貸管理業者に物件の条件(間取り、築年数、広さ、設備、共用部の設備)を踏まえて問い合わせると予測金額がわかります。あらかじめ一定の空室率を見込んだり、リノベーションした後に家賃が上がる可能性を踏まえるかどうかは、ケースバイケースで少し複雑になりますので、ここでは触れません。一般的にはこのレベルで大丈夫です。あとは、純収益ということなので、その月額家賃から、固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金などを差し引かなければならないです。 ここはそういった諸経費を全体から20%差し引くとして計算しておきましょう。10%で計算することもありますが、20%ならかなり手堅い数字になりますので、 こちらのほうが間違いがないです。
つまり、月額家賃が月15万円なら、純収益は12万円です。それに12ヶ月をかけて年間純収益がでます。
月額家賃が15万円の場合に年間純収益は144万円ですね。[キャップレートとは?]
これも専門用語で申し訳ないのですが、その不動産から期待される収益がどの程度の割合になりそうかということです。う〜ん。 そう言ってもわかりにくいことに変わりないですね。国債や長期金利の水準を参考にして決めた利率のようですが、この決め方は実は厳密でなく、専門家ごとに出し方の計算式が異なっていたりします。 以前は良質な住居系の不動産であれば世界標準で6%から8%のキャップレートが基準になると言われていました。ただ、現在の東京で考えると、かなり金利が低い状況なので、 基本的なレートは5%と考えておけば良いとされます。ですので、年間純収益から割ることの5%(キャップレート)で、適正物件価格がわかるというわけです。
ただし5%というキャップレートは基本レートです。
これにエリアごとのリスクを考えたリスクプレミアムを上乗せするか、もっと安定したエリアではリスクフリーレート を差し引くことになります。それぞれ2%程度上下します。例えば港区(街の分類マトリクスのAタイプ)などで将来性のありそうな物件であればマイナス2%でキャップレート を3%で計算します。逆に、ニュータウン系の街(街の分類マトリクスのBタイプ)のようにリスクの高そうな街ではプラス2%の7%で計算します。
ちなみに、あくまでも簡単に伝わるように、ここではアバウトな数字で考えてもらえるようにしています。本格的に勉強したい方は専門書を読んでいただくと良いと思いますが、 住まいの購入ではそこまでする必要はないと思います。興味があれば取り組んでいただくということで、もう少し詳細な地域データ等は、 スマサガ不動産のメルマガにご登録いただければ資料をお渡しいたしますし、その資料についてはご質問も可能です。[収益還元法で点数をつけてみましょう!]
では、試しに計算してみます。港区で月額家賃15万円で賃貸に出せる物件の場合は、年間純収益が144万円ですので、144万円÷0.03(3%)=4800万円。4800万円の適正価値ということになります。
もし、その物件が3800万円で販売されていたならかなりお得な物件ということになりますね。これを点数化してみましょう。点数化する方法がわかれば、 今後、色々な物件を比較する上で便利です(もちろん、得点が同点であれば街の価値を優先して下さい)。
[収益還元で計算した適正価格]4800万円÷[販売価格]3800万円×100=126点、これで点数が出ます。
126点はかなり優秀です。自分の住まいとしての住宅だとなかなかないレベルですけども。次はニュータウンで同じ家賃の場合です。
144万円÷0.07(7%)=2057万円。2057万円が適正価格ですね。
で、おなじように3800万円で販売されていたとしましょう。ちょっと苦しい金額ですね。
点数をつけると、2057万円÷3800万円×100=54点。かなりシビアです。点数は出来れば80点以上あると安心です。80点にはほど遠いです。
同じ賃料と同じ販売価格でも街によって、これだけ所有リスクに違いが出るというのが、数字に落とし込むことで少しわかりやすくなったのではないでしょうか?
このように、ニュータウン系の街では、2057万円の収益還元価格(価値)のものが、3800万円程度の販売価格で売られていることが実際にあります。割合を計算してみると184%、つまり、8割高ということですね。色々な事情があって、交渉不可能なことも多いですが、そうなると間違いなく購入はしないほうが良いという判断になります。